【SIMカードの基礎知識】概要やサイズ、取り付け方から自分に合った格安SIMの選び方まで
更新日:2021/3/31
皆さんは「SIMカード」と聞いて、どのようなものをイメージしますか?
中には「見たこともないし使ったこともない」「そのカードはスマホとどんな関係があるの?」という方もいるでしょう。
SIMカードは、スマートフォンで電話やインターネットなどの通信機能を利用するためになくてはならないものです。
しかし、大手携帯電話会社で契約したスマホを使う際には目にすることがないため、知らない方もいるかもしれません。
そこで今回は、スマートフォンの利用に欠かせないSIMカードの種類やサイズごとの説明、取り付け方、そして自分に合った格安SIMの選び方などの基礎知識を説明します。
SIMカードとは
普段から何気なくウェブサイトを見たり電話をかけたりしていると思いますが、それを可能にしているのがスマートフォンにセットされているSIMカードです。
まずは、SIMカードの基本的な部分に触れていきたいと思います。
そもそもSIMカードってなに?
SIMカードは、スマホ所有者の契約情報や使用する電話番号などが記録されたICカードのこと。
スマホで電話やインターネット通信を行う場合には、このSIMカードが不可欠です。一般的にSIMカードはスマホの利用開始時や機種変更時にしか見ることはありませんが、非常に重要な役割を果たしています。
SIMカードがないとどうなるの?
では、SIMカードが挿さっていない状態だと、何ができなくなって何ができるのでしょうか?
SIMカードが音声通話SIMの場合、電話が使えなくなります。電話番号を使った電話の利用はもちろん、SMS(ショートメッセージサービス)の送受信なども行えません。
SIMカードが音声通話SIMかデータSIMの場合、インターネット通信・モバイルデータ通信ができなくなります。
カメラでの撮影や電卓、メモ帳など、通信を必要としないアプリの利用はできますが、近頃は通信を必要とするアプリが多く、SIMカードがなく通信ができない状態だと、多くのアプリが使えない状態になるでしょう。
ただ、Wi-Fiに接続ができる環境であれば、通信が必要なアプリは利用可能です。
逆にSIMカードがなくてもWi-Fiがあれば、電話とSMS以外ができるようになると言えますが、「Wi-Fiのない外でもスマホを利用したい」「LINEアプリの通話ではなく電話番号を使った電話機能を利用したい」といった場合は、いずれもSIMカードは必須です。
機種変更のときのSIMカード
先述した通り、SIMカードには利用者情報(利用者の識別番号や電話番号)が記録されています。
電話番号を変えずに機種変更をする場合は、今まで使っていたSIMカードを新しいスマホに移し替えることになります。
(キャリアを契約していると、SIMカードの移し替え作業は店舗スタッフが行ってくれたので、実際にはSIMカードを見たことがない人も多いでしょう。)
ただしここで気をつけたいのが、アプリや写真などのデータは、SIMカードには保存されていないということ。
機種変更をする際はどうにかしてアプリや写真などのデータも移動させる必要があります。
Androidであれば、SDカードにデータをコピーしてSDカードを新しいスマホに挿すことでデータの移動ができますし、iPhoneであればiCloudやiTunesにバックアップをとって新しいiPhoneに復元することによってデータの移動ができます。
機種変更をする際は、SIMカードを移し替えるだけではなく、スマホに保存されているデータも移動させる必要があることを覚えておきましょう。
SIMカードには、サイズ・機能・支払い方式などで種類がある
SIMカードには、サイズ・機能・支払い方式などにより、さまざまな種類があります。ご自身の用途によって適正なものを選びましょう。
サイズの違い
SIMカードは大きさによって、「標準SIM」「マイクロSIM」「ナノSIM」「マルチSIM」の4種類に分けられます。
スマートフォンによって使用できるSIMカードサイズは変わるため、SIMカードを自分で契約する際は注意が必要です。
端末に対応しているSIMカードのサイズを知りたい場合は、「端末に同梱されたピンを使用してSIMカードを取り出し確認する」「ウェブサイトで端末のスペックを確認する」という方法があります。
では次に、SIMカードのサイズごとの特徴について見ていきましょう。
・標準SIM
サイズは縦25mm×横15mm。
フィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)に多く使用されていたSIMカードです。最近ではあまり見かけなくなっています。
・マイクロSIM
サイズは縦15mm×横12mm。
標準SIMより一回り小さいサイズのSIMカードです。近年においてマイクロSIMを使用する端末は減っていますが、まだ使われている端末もあります。
・ナノSIM
サイズは縦12.3mm×横8.8mm。
3種類の中で最も小さいサイズのSIMカードです。最近は、このナノSIMを使用する端末がほとんどと言われています。
・マルチSIM
標準SIM・マイクロSIM・ナノSIMのいずれかのサイズに1枚のSIM台紙から取り外せるSIMカードです。
使いたい端末の対応サイズに合わせて切り離せるので、SIMサイズを自由に選べます。
ただし、切り取った後にナノからマイクロ、マイクロから標準といった、大きなサイズへの変更はできません。
機能の違い
さらにSIMカードには、大きく分けて「データSIM」「音声通話SIM」の2種類があります。
それぞれによって、使える機能が異なります。
データSIMは、データ通信のみの機能です。つまり、Wi-Fi環境のないところでも、3G/4G/LTEを利用したインターネット接続が利用可能になります。
携帯電話会社によっては、データSIMでもSMSが使えるSIMカードを提供しているところもあります。アプリの認証のためにSMSが必要な人などはこのタイプのSIMがいいでしょう。
音声通話SIMは、電話番号も付与されて、データ通信も電話機能も利用できます。
SIMカードを手に入れた後に、「この機能もやっぱり欲しかった…」と後悔しないよう、使う機能に合わせて適正なSIMカードをチョイスしましょう。
支払い方式の違い
また、決済方法によってもSIMカードの種類が異なります。
事前支払いの「プリペイド」タイプと、使った分を利用後に支払う「ポストペイド」の2種類です。
プリペイドは、SIMパッケージを前払いで購入し、面倒な手続き不要ですぐに使える使い切りタイプのSIMカード。
日本に旅行で来ている方や、不定期や短期間でSIMカード(スマートフォン)を使いたい方、クレジットカードのない方、SIMカードを試してみたい方にはオススメです。
ポストペイドは携帯電話会社と契約して、毎月の請求額に応じて後から支払います。
日本の携帯電話の契約のほとんどは、ポストペイド形式です。
プリペイドを採用している携帯電話会社が少ないということではないですが、毎日、毎月ずっと使い続けるのであればポストペイド形式を選択するのが一般的でしょう。
SIMロック・SIMフリーとは?
大手携帯電話会社のスマホの場合、例えばドコモのスマホではソフトバンクなどのSIMカードが使えません。
このように一部のSIMカードのみ利用可能な状態を「SIMロック」といい、ロックが解除されている状態を「SIMフリー」といいます。
2015年5月よりSIMロック解除原則義務化がスタートしており、これ以降に発売された端末は原則としてSIMロックを解除し、「SIMフリー端末」にできるようになっています。
つまり、手持ちのスマホで格安SIMを使うことも可能なのです。
SIMカードのサイズ変更が必要になる場合とは
機種変更などを行った際も、基本的に同じSIMカードを入れ替えて使うことになります。しかし、新しい端末に対応しているSIMカードのサイズがこれまでのものと異なる場合は、SIMカードのサイズ変更が必要です。
サイズ変更には3,000円程度の手数料がかかります(携帯電話会社によって異なります)が、契約している携帯電話会社へ連絡することで対応してもらえます。
手続きや配送に数日かかるため、新しいSIMカードを受け取る前に、古いSIMカードが利用できなくなる携帯電話会社もありますので注意しましょう。
事前に注意書きなどをよく読み、契約している携帯電話会社はどうなのかを確認しましょう。
一部では「SIMカードカッターでSIMカードを切る」「SIMアダプタ―を使用する」といった方法も紹介されていますが、そういった方法はSIMカードが使用できなくなるリスクがあり、何かあった場合も自己責任となるため注意が必要です。
自分でSIMカードのサイズを変更した場合は、SIMカードを返却しても、返却したとみなされずに返却損害金が発生する可能性もあります。
SIMカードはどこで購入・契約できる?
店舗(ショップ)
SIMカードを契約する場所として最も一般的なのが、店舗(ショップ)です。
店舗では、スマホ購入時に携帯電話の契約も同時に行うケースがほとんどです。店舗でSIMカードを契約するメリットとして、「不明な点を直接聞くことができる」「スマホの即日入手が可能」などが挙げられます。
インターネット
SIMカードはインターネット上で契約することもできます。
また、業者によってはインターネットでしか契約できないケースもあります。インターネットでSIMカードを契約すると、「いつでも申し込みができる」「余計な手間がかからない」といったメリットがあります。
格安SIMは、インターネットで契約することが多いです。
家電量販店
家電量販店など、スマホを取り扱うお店でもSIMカードを販売しています。
家電量販店は比較的店舗数もスタッフ数も多いため、「インターネットでは不安」という方にオススメです。ヨドバシカメラやビックカメラなど、大手では独自の格安SIMを提供しているのでチェックしてみましょう。
家電量販店でSIMカードを購入するメリットは、「店舗数が多い」「スタッフに直接質問できる」などです。
SIMカードをスマホにセットする方法
SIMカードのセット方法
手順
1. SIMカードとスマホ端末を用意する
2. SIMカードを台紙から丁寧に切り取る
3. ピンなどを使ってスマホ端末のSIMカードトレーを引き出す
4. SIMカードをトレーにセットし、端末に入れる
SIMカードセット後に行うAPN設定について
SIMカードをセットしたら、通信サービスを開始するためにAPN設定(初期設定)を行う必要があります。
SIMカードのセット方法と同様にAPN設定もiOSとAndroidで異なるため、購入したSIMカードに添付してあるマニュアルを読んでから行うようにしましょう。
SIMカードを取り付ける際に注意すること
SIMカードを取り付ける際には以下の点に注意しながら行うようにしましょう。
・SIMカードトレーは正しく引き出す
・カードの向きは正しく入れる
・SIMカードに指紋をつけない
・SIMカードの着脱を行う際は、スマホの電源を切っておく
これらのポイントを守らないとスマホ本体が破損したり正常に作動しなくなったりする恐れがあるため、十分な注意が必要です。
SIMカードが認識されなかったときはどうすればいい?
SIMカードが認識されない場合は、以下のような方法を試してみましょう。
SIMカードが正しく入っているかを確認する
まずはSIMカードが正しくセットされているか確認しましょう。端末によっては、SIMカードが正しくセットされていても中でズレることがあるため、心配な場合はセットし直しましょう。
SIMカードや読み取り部分の汚れを拭く
SIMカードおよび読み取り部分に指紋やほこりなどの汚れがついていると、読み込みが正常に行われない場合があります。SIMカードの表面を柔らかい布で拭いて、再度セットしてみましょう。
スマホを再起動する
SIMカードが正しくセットされているのに読み込まれない場合は、端末を再起動してみましょう。再起動によって正常に読み取りが行われるケースも多くあります。
ただし、それでもSIMカードが読み込まれない、または読み込まなくなる状態が繰り返される場合は、SIMカードや端末が故障している可能性もあるためサポートセンターへ問い合わせましょう。
自分にあった携帯電話会社を選ぶには
ドコモ、au、ソフトバンクといった大手から格安SIMまで、携帯電話会社の選択肢は増えてきています。そのため、それぞれのプランや料金などを事前にじっくり吟味したうえで、自分に合った携帯電話会社を選ぶことが重要です。
格安SIMとは、大手携帯電話会社の回線を借りて提供している通信サービスや通信事業者(MVNO)のこと。格安SIMに乗り換えれば、月々の支払いを従来の半額以下に抑えられる可能性もあります。
「どの携帯電話会社を選んだらいいか分からない……」と悩んでいるのであれば、以下のチェックポイントを踏まえて携帯電話会社を選んでみましょう。
毎月かかるデータ通信量
スマホを使う方にとって大きなストレスになるのが「通信制限」です。
通信制限にかからないようにするには、自分が月にどれくらいのデータ量を使用するのかを把握しておく必要があります。すでにスマホを使用している場合は、月々にかかるデータ通信量などを調べておくと良いでしょう。
以下、スマートフォンの利用内容とデータ通信量の目安をご紹介します。
スマートフォンの利用内容/データ通信量の目安
・メールやメッセージアプリを利用する/~1GB
・SNSやゲームアプリを日常的に利用する/3GB~7GB
・YouTubeやオンラインゲームを頻繁に利用する/10GB~
データ通信を利用して動画を見ることが多く、毎月の通信量が多い方は、大手携帯電話会社の大容量プランを検討しましょう。
逆にそこまでデータ通信を利用しない方は、毎月の利用データ量を基準にプランを選びましょう。格安SIMが提供している中容量プランなどがオススメです。
利用データ量の確認方法
ドコモ
「dメニュー」から「My docomo(お客様サポート)」にアクセスすると確認できます。
au
「My au TOP(ウェブ)」にアクセスし、「現在の残データ容量」をタップすることで確認できます。
ソフトバンク
「My SoftBank」右上のメニューをタップし、「使用量の管理」内の「詳細をみる」で確認できます。
通信速度
動画を見たりショッピングをしたりする際に通信速度が遅いと、なかなか読み込みが進まずストレスを感じることもあるでしょう。
最近ではどの格安SIMも通信速度が安定してきましたが、時間帯や携帯電話会社によって多少のバラつきがあるため、気になる方はクチコミやスピードテスト(インターネット速度テスト)の結果などをチェックしておきましょう。
「通信速度が遅くなると生活に支障が出る恐れがある」「どうしても我慢できない」という方は、大手携帯電話会社を選択するのがオススメです。
プランの内容
最近では、大手携帯電話会社でも提供するサービスやプラン内容に差がついてきました。また、格安SIMは大手携帯電話会社以上に事業者(MVNO)によって契約できるプランの内容が大きく異なります。
格安SIMは選択肢も多いため検討するのが大変だと感じるかもしれませんが、プランは月々の料金を決める重要なポイントです。しっかりと「違い」を比較し、選ぶようにしましょう。
オプションサービス
携帯電話会社ごとに、指定のサービスでは月間データ容量を消費しないで済む「カウントフリー」や「通話し放題」などのサービスを提供している場合があります。
これらをうまく活用することで、料金を抑えながらより快適にスマホを使うことが可能です。
サイズや種類などに注意して、自分に合ったSIMを選ぼう!
普段あまり意識することのないSIMカードですが、実はスマホを使用する上で重要な役割を担っています。
スマホの機能だけでなく月々に支払う料金にも影響するため、しっかりと吟味して選ばなければなりません。
昔は大手携帯電話会社でスマートフォンを購入すると、他の携帯電話会社のSIMが使えないようにロックがかかっていましたが、現在はSIMロック解除ができるようになりました。
それにより、機種変更などで使わなくなった端末を格安SIMでも使うことができるようになっています。
現在は以前より格安スマホへ乗り換えやすい状況にあるので、さまざまな事業者の特徴・サービスを比較しながら自分に合ったSIMを選ぶようにしましょう。
※当ページの内容は2021年3月時点の情報です。